こんにちわ Maciamoさん
日本に住んでいる人しか分からないであろう、非常にローカルな話題をありがとうございます。

日本語の難しいところは、授業で学ぶ日本語と、実際に日本人が話す日本語に違いがあることではないかとわたしは思います。日本人の多くは方言を話すため(東京の人間でさえ)、教科書に載っている日本語が通じない地域もありますから。日本人と自然な会話をするためには方言を学ばないといけないのですが、これは教科書に載っていませんからね。方言やスラングを覚えるのは難しいと思います

さて、Maciamoさんが今回使ったスラングですが、これでもまだ標準語に近いですね。もっと世代や性別を意識した、くだけた表現を使っても良いのではないかと思います。
Maciamoさんの使われたスラングを解説すると次のようになります。
「A : 父さんの会社は倒産したよ」
最初に話し掛けるときは、「○○したよ」というより「○○でさ~」とか「○○なんだけどさ~」という表現がよいです。「○○したよ」という表現は、相手から「○○した?」と聞かれたときに答える用法になります。ある種完結した表現であり、最初に話し掛けるときに使うべき言葉ではありません。
「B : これはありえないね。」
この言葉は、相手が間違っていると自分が確信を持って言える場合に用います。例えば、「アメリカではみんなドイツ語を話すんだって」と言われた場合、明らかに相手は間違ったことを言っているので「それはありえないね」と答えることができます。ですが、Aさんが「父さんの会社は倒産した」と言っている場合、Bさんにはそれが本当の事かどうかわかりませんから、「それはありえないね」と答えることができません。ですから、この場合の受け答えとしては、「信じられない」が妥当です。「これはありえないね」と「それはありえないね」の違いですが、「これ」は対象が目の前にあるとき、「それ」は対象が目の前にない場合に使います。会社の倒産は話で聞いた事象なので、「これ」ではなく「それ」で受けます。
「A : ええ、本当にあきれたぞ」
「あきれる」というのは驚いたときに使う言葉ですが、常識から外れた軽い行動に対して使われる言葉です。例えば、お酒を飲みすぎて道で寝てしまったとか、財布を持たずに買い物に出かけてしまったとか、こういう冗談のような場合に「あきれる」という言葉は使われます。しかし、人が死ぬような悲しい事件や事故の場合には、たとえ驚く場合でも「あきれる」という言葉は使われません。悲しい事件や事故の場合には、「驚いた」とか「びっくりした」などが一般的です。
「B : 信じられぬ。」
「---ぬ」という語尾は否定で使われるので、この場合用法的には正しいです。ただ、若い人は「---ぬ」という語尾を使いません。サムライなどが登場するTV番組ではよく使われる言葉ですが……。普通は「---ない」です。ひょっとしてMaciamoさんは時代劇が好きですか?
「A : 家賃も払わなきゃいけないけど今目が飛び出るほど高そうだね。」
「---だね」というのは、自信のない言葉で、多分に相手に同意を求める場合や、尋ねる場合に使われる言葉です。しかし今までの文面から判断すると、Aは家賃が高いということをはっきりと確信していることが分かります。だからBに同意を求めて話す場合には「高いらしいんだ」にしなければいけないし、Bに尋ねている場合には「高いんだろ?」というふうに、Aが確信的に話をしているような話し方にしなければいけません。
「A : 頭にきてるぞ。」
「頭にくる」という言葉を一人称で使うと「頭にきた」になります。「頭にきてる」という言葉は、冷静な人が怒っている人をさして言う場合に使われます。たとえば、「あいつ、かなり頭にきてるぞ」というかんじです。
以上の説明を踏まえた上で日常使われているスラングに直すと、次のようになるのではないかと思います。
A : 父さんの会社、潰れちゃってさ~。
B : それ、マジ?
A : ああ、つまんね~冗談かと思ったら本当だっていうんだよ……。
B : 信じらんね~な。
A : だろ? 家賃も払わなきゃいけないのにさ~、すげぇ高いじゃん。まったく、どうする?
B : アイフル
A : 頭(あったま)きた!
B : ごめん。
こんな感じになるでしょうか?
ちなみにわたしの住む関西弁に直すと、次のようになります。
A : 親父の会社、潰れてもてな~。
B : ホンマかいや?
A : ホンマ、ホンマ。びっくり。聞きなおしてもたわ。
B : 信じられへんな~。
A : 家賃も払わなあかんけど、むっちゃ高いやん。どないしょう。
B : アイフル~
A : 頭(どたま)かち割ったろか?
B : ごめん。
おそらくお年寄りの使う鹿児島弁や東北弁だと、もっと難しくなるのではないかと思います。
日本語って、難しいですね。南木